Matsumura 松村組

松村組プロジェクトストーリー

京都市立芸術大学及び
京都市立銅駝美術工芸高等学校
移転整備工事
ただし、A地区及びB地区建築工事 Vol.1

鴨川に沿って流れるように屋根をかけ、京都芸⼤と市立美工高の⼀体感を演出している。 また、キャンパスと鴨川がつながるようにデザインされており、⾃然に親しみながら創作活動ができるように計画されている。

Introduction

美を探求した
先人のDNAを次の世代へ-。
「文化芸術都市・京都」の
新たなシンボルゾーン創出に参加。

京都市立芸術大学(以下、京都芸大)、京都市立美術工芸高等学校(以下、市立美工高。現京都市立銅駝美術工芸高等学校)は、明治13年に日本初の公立の絵画専門学校として創設された京都府画学校を起源とし、建学以来140年にわたり、国内外の文化芸術の発展に尽くしてきた。松村組・要建設JVは、そんな伝統ある教育機関の建築プロジェクトを受注し、京都駅東部エリアにおける「文化芸術都市・京都」の新たなシンボルゾーンの創出に参加することとなった。

創造力を刺激する新キャンパスのロケーション

京都駅東部エリアは、京都の玄関口・京都駅と東山の間に位置し、世界につながる新たな文化芸術の拠点となることや、移転整備により京都芸大が「創造・交流・賑わい」の核となり、文化によるまちづくりをけん引することが期待されている。新キャンパスは、A・B・Cの3地区に分けて建設がすすめられており、松村組・要建設JVは、敷地に沿って南北に鴨川、高瀬川が流れる、A地区・B地区の担当である。

From Our Site

BIMによるシミュレーションと柔軟な現場対応。
松村組の強みが活きる建築プロジェクトです
大阪本店 建築部 工事事務所 所長
中田 利幸

BIMで工事計画、揚重計画、搬入計画を精緻化
「ここはJR在来線や新幹線などが行き交うエリア。完成後も多くの方々の目にとまるため、施工者としてとてもやりがいのある建物です。しかし一方で、市街地ならではの難しさを併せ持つ現場でもあります。とくにA地区は敷地いっぱいに建物が計画されており、作業ヤードとして使える部分がとても狭く、搬入や工事が難しくなっています。それだけに、綿密なシミュレーションで適切な工事計画、揚重計画、搬入計画を立てることが重要で、それを可能にしたのがBIMです」

BIMとは、Building Information Modelingのこと。
設計から施工、維持管理などあらゆるシーンで活用される新時代のワークフローだ。2次元主体の従来のCADシステムとは異なり、最初から3次元で設計を行うため、どこか一箇所でも修正すると該当箇所すべてが連動しリアルタイムで反映され大幅な効率アップが可能だ。

「たとえばクレーンには大小様々なタイプがありますが、どんなクレーンをどう配置すれば何トンの吊り荷重に対応できるのか、メーカーや型番を設定するとすぐに答えが出ます。線路の近接工事になるためクレーンの使用に様々な制約もあります。総合仮設計画に必要な重機選定から配置計画まで、BIMを本格稼働させました」
以前は計画に狂いが生じ、手配やコストに大きな影響が出ることがあったというが、これまでのところシミュレーションにほぼ沿った形で進行している。もはや躯体工事には欠かせないシステム。BIMにかかる期待は大きい。

多様な施設のニーズに現実的な解決策を提案

芸術大学の校舎と一般の大学校舎の建設は似て非なるものだ。京都芸大には美術と音楽の2学部があり、たとえば美術学部には美術科、工芸科など4学科が、そこからさらに日本画、陶磁器、染織など12専攻に分かれる。それぞれの専攻が求める施設の要件は性質がまったく異なっており、市立美工高の多様性も同様だ。

「まるで工房やアトリエがいくつも集まっている感じです。それぞれ独自のニーズがあって、施工段階で変更となることもあります。実は松村組が得意とする病院建設は細かな変更が多く、その都度施工者の立場から現実的な解決策を提案します。もちろん、コストアップにつながらないように、です。京都芸大、市立美工高の建設にはそうした経験が大いに役立っていますね」

これら小回りの利く対応をひとつひとつ重ねた先に、発注者にも市民にも設計者にも満足してもらえる建物が完成する。